鳥類学大会2023

協賛 一般社団法人ヒマラボ

各発表の講演タイトルと要旨はこちら

ポスター発表  → 口頭発表 →観察施設コラボ企画など

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ご寄付のお願い

バードリサーチでは、全国の会員の方のご参加・ご協力を得ながら、鳥の調査や研究に関わる様々な活動を行っています。
いいことやってるね!と思っていただけるよう、これからも、がんばっていきます。

鳥類学大会2023

協賛 一般社団法人ヒマラボ

ポスター発表プログラム

ホーム → 口頭発表 →観察施設コラボ企画など

下にスクロールすると発表タイトルと要旨があります。各発表のタイトルをクリックするとPDFを閲覧できます

ポスター番号  1– 4 は 15日 19:00–21:30がコアタイム
ポスター番号  5–35の奇数番は 16日 10:00–12:30がコアタイム
ポスター番号  6–36の偶数番は 17日 10:00–12:30がコアタイム


投票による賞の決定について

最優秀ポスター賞 投票はここをクリック!

対象 :全てのポスター発表
審査員  :全参加者
審査基準:参加者がそれぞれの基準で最も面白いと思った発表に対して1票を投じ、最も多くの票を集めた発表に対して授与します。

ヒマラボ賞 投票はここをクリック!

ポスター番号の右隣に*のマークがついているものがヒマラボ賞の対象です

対象  :空いた時間に行った調査研究活動によるポスター発表(発表者による申告)
審査員 :全参加者

趣旨と審査基準:鳥類学は、ちょっとした好奇心や行動力でチャレンジできる学問です。発表者が仕事や学業、家事をしながら空いた時間に取り組んだ調査や研究、研究者がメインテーマとは別にちょっとやってみた研究にもスポットライトを当てたいと考えます。参加者が、自分でも空き時間にやってみよう!と意欲をかき立てられた発表に1票を投じます。最も多くの票を集めた発表に対して授与します。
※協賛団体の一般社団法人ヒマラボは、「好奇心を楽しもう、空いた時間に研究的な活動をして小さな知的生産をめでよう」という思いを込め、ヒマなときに研究するラボです。

ポスター発表 P-01*

音声から探る!謎多きカラスバト カラスバトは何を考えて鳴くのか?

 ○市石博、相田麻衣、中村悠季(国分寺高校 カラスバト班) 

天然記念物の鳥カラスバトは希少なだけでなく、人に対する警戒心が強く、その姿をなかなか我々に見せてくれない。しかし、姿は見えずとも音声は聞くことができ、その音声にはいくつかのパターンがみられる。それらを録音し、同時に行動も観察できるような場面からその音声の意味を考えてみた。高校の生物部の発展途上の研究まもで色々とアドバイスをいただきたい。

ポスター発表 P-02

世界最北のカラスバト⁉ ―鳴き声頻度の季節・年変化とタブノキの結実状況―

 ○小峰浩隆・村上亘・番匠翠(山形大学農学部) 

カラスバト(Columba janthina)は国の天然記念物に指定されている希少種で、世界で日本周辺の暖温帯から亜熱帯にかけての島嶼にのみ生息している。しかし山形県の飛島では、東北以北で唯一、繁殖の可能性が指摘されている。これまで、交尾行動の観察報告があるものの、その生態の多くは未解明である。本研究では、カラスバトの基礎生態の解明を目指して①カラスバトの鳴き声頻度の季節・年変化②タブノキの結実状況の評価を行った。その結果、カラスバトの鳴き声頻度は季節・年によって変動し、その変動はタブノキの結実状況と関係している可能性が考えられた。

ポスター発表 P-03*

ジシギ類の生息環境と捕食行動について

 ○岸久司 (龍ケ崎バードウォッチングクラブ・日本野鳥の会茨城県) 

オオジシギ、チュウジシギなどのジシギ類は繁殖地と越冬地への移動距離は5000キロ~8000キロと言われています。これほどの体力は何を捕食して脂肪を蓄えているのでしようか。中継地の茨城県での生息環境と捕食状況を観察したところ、大量のミミズを捕食していることが解りました。またミミズと嘴の関係も発表します。

ポスター発表 P-04

センサーカメラで撮影されたオシドリの採食行動パターン

 ○森茂晃(ホシザキグリーン財団) 

ホシザキグリーン財団の施設である「ふるさと尺の内公園(島根県雲南市)」に、オシドリが飛来することが判明した。同公園には本種が生息するような水面はなく、確実に生息している斐伊川は約1.5km離れている。飛来状況をモニタリングするためにセンサーカメラを設置したところ、オシドリは数十羽の群れで飛来することもあり、地面に落ちているドングリを採食していた。撮影された時刻は薄明薄暮の時間帯であり、最初にセンサーが反応してから断続的に撮影された時間は1〜44分であった。センサーカメラによってドングリ食のカモ類の生態が垣間見られた事例の一つではないかと考え、報告する。

ポスター発表 P-05*

イモムシを給餌するツバメの観察

 ○越川重治(都市鳥研究会) 

ツバメは飛翔性の昆虫のみを捕食すると考えられていたが、親鳥がイモムシ(チョウ目の幼虫)を雛に給餌したのを観察したので報告する。観察したのは5例である。このうち2例はツバメの繁殖をセンサーカメラで撮影したビデオを解析したもので、もう1例は実際に巣を見ている時に親鳥が運んできたものを確認した。残りの2例は繁殖巣の下に雛が食べられずに落としたと思われるイモムシを観察したものである。ツバメがどのようにイモムシを捕らえたのかを考察する。

ポスター発表 P-06*

赤・黒2色の草の実を運ぶのは誰? ― ヒヨドリによるトチバニンジンの果実の持ち去り記録 ― 

 ○鳥居憲親(長岡市博動物研究室)・櫻井幸枝(長岡市博植物研究室) 

トチバニンジン Panax japonicus は一般的には赤色の果実をつけるが,国内の一部の地域では果実の先端半分程が黒色の「赤・黒2色」の果実をつけることが知られている。国内では他に例を見ないこの独特な配色の果実は,2色効果により鳥類を誘引していると考えられているが,野外で実際にこの果実をどのような動物が採食しているのかはわかっていない。新潟県で自動撮影カメラによる調査を行ったところ,ヒヨドリとニホンカモシカで果実の持ち去りが確認された。この2種は本種の種子散布にも貢献している可能性があった。本調査は本種の果実を採食する動物及び本種の果実に実際に鳥類がやってくることを初めて示した報告である。

ポスター発表 P-07*

石川県金沢市のノジコ囀りの季節変化(暫定版) 

 ○大坂英樹(トリルラボ)・出口翔大(福井市自然史博物館) 

日本本州で局所的に繁殖するノジコの囀り(歌)は地域差が大きい。この謎解きと歌による個体識別をめざし、音響分析を進めている。調査は石川県金沢市の沢沿いで、2023年5月12日から7月20日の8回調査し、合計で11時間26分録音した。分析が終了した2エリアの音響特性(n=233、n=263)は先行研究(Hamao20218)に比べ、最大周波数が一番高く、シラブル型数、歌の長さも最長だった。先行研究の調査地より囀りコストが大きい可能性がある。また、一方のエリアの歌は時期が進むと長さは短く、歌い出し周波数は低くなり、7月にまた戻った。他方のエリアでは音響パラメータは5月に大きくばらつくが、6月、7月は小さかった。今後、繁殖行動との関連解明と囀りによる個体(エリア)判別を試みたい。

ポスター発表 P-08

定点カウントと録音調査で長所を活かし短所を補う

 ○石田健・阿部智・植田睦之 

鳥類の生息状況を調べるセンサスやカウントといった直接観察による調査法に代わる、記録機器を用いた調査法が発展している。演者ら3人は、森林や隣接する環境での録音調査を、長年実施してきた。福島県における6月の定点カウント、定点カウントを実施した本人による同時録音の聞き取り、別の者による聞き取り、もう一人別の者による一部の録音の聞き取りを組み合わせて、定点カウントと録音カウントの得失を検証した。2013-15年に46種を記録し、ウグイスなど数種では4者で高い一致率が得られた。カラス類やシジュウカラ類などで一致しにくい種もあった。どの調査手法にも一長一短あり、結果を適切に解釈、考察することを提案する。

ポスター発表 P-09*

なぜ茨城県稲敷市の甘田入干拓・西の洲干拓には草原性希少鳥類が多いのか?

 ○福田 篤徳(野鳥の会茨城県)・北沢 宗大(環境研)・内田 初江(野鳥の会茨城県) 

茨城県稲敷市甘田・西の洲地区は、約100年前から干拓事業が行われて農地になり、その後農地を改良する基盤事業が行われて来た。人為撹乱を受けた環境は大部分が草地・湿地環境となり、草原性希少鳥類に適した環境になっている。しかし、近い将来農地に整備されて所有者に返還されるため、筆者らは、鳥類の記録を残すこととし、2022年繁殖期の調査結果として多種・多数の草原性希少鳥類の生息を鳥類学大会2022で発表した。本発表では、2022年繁殖期と2022-2023年越冬期について、現地での植生カテゴリー調査や衛星画像、さらに近隣の希少鳥類の生息地との関係などにより、希少鳥類が多い理由を考察した結果を報告する。

ポスター発表 P-10*

ブッポウソウの抱卵期~雌雄の違いに着目して~

 ○時本仁美・黒田聖子(清心女子高等学校) 

ブッポウソウの抱卵に関して、日中は雌雄交代するが、夜間は雌のみが抱卵することがわかっている。しかし、雌雄ほぼ同色で区別がつかず、抱卵交代のタイミングについて、詳細はわかっていない。そこで、本種の抱卵行動の特徴を調べるために、2015年に岡山県高梁市で繁殖のようすを記録したものから産卵抱卵期のデータを解析した。結果は、初卵日から夜間抱卵を始めるが、日中の抱卵時間は少なく、徐々に増えていき、最終卵を産み終えてから、完全抱卵を開始した。雨天時はとくに雄の抱卵時間が長くなる傾向が見られた。日中の抱卵回数について、雄は5回、雌は2回と雄の方が多く、各抱卵時間の平均も雄の方が長かった。

ポスター発表 P-11*

メガソーラーは野鳥の生息地となり得るのか?~岡山県内の事例~ 

 ○多田英行(野鳥の会・岡山) 

大規模太陽光発電施設(メガソーラー)は、温暖化対策の1つとして注目される一方で、開発による鳥類への影響が懸念されている。岡山県内の森林・ヨシ原・水上の各事業地で調査した結果、事業地内は非森林性の一部の鳥類の繁殖・採食・休息に利用されており、鳥類相は発電パネル下の環境によって大きく変わる傾向が見られた。陸地では、発電パネル下が裸地の場合は生息種数が少なく、背丈の高いヨシ等の草地の場合はホオジロやモズやキジなど多くの種数が生息していた。また、水上では、発電パネル上をサギ類やカモ類などが利用していた。そのため発電パネルの設置方法によっては、メガソーラー開発の影響を軽減できる可能性がある。

私は2016年から小笠原諸島や伊豆諸島の島々に飛来するツバメ(Hirundo rustica)を島民の観察者と協力して調べている。これまでの調査で、春は4月中旬から下旬にかけて観察されることが比較的多いが、繁殖はしていないことがわかっている。
太平洋を越えてやってくるツバメたちは島を伝って北上していると考えられるが、繁殖地に向かう途中の青ヶ島でどのように過ごしているのかほとんど調べられていない。
そこで2023年4月中旬に青ヶ島を訪問し、島内に飛来しているツバメを観察した。
その結果や、これまでの調査の記録とあわせて青ヶ島の春のツバメについて報告する。


ポスター発表 P-13

誰がノブドウを持ち去るのか?

カメラトラップによるノブドウの果実消費者の解明

 ○大崎萌恵・三木まどか・北村俊平(石川県立大学) 

ノブドウは夏から冬の長期間にわたり熟した果実(果実サイズ:9×9mm、糖度:10%)が見られるため、さまざまな動物が果実を持ち去ると考えられる。本研究では、石川県立大学キャンパスと石川県林業試験場において、カメラトラップを用いて、ノブドウの果実を持ち去る動物と持ち去った果実の色、それらの季節変動について検討した。鳥類5種、哺乳類1種が果実を持ち去り、2022年10月後半~12月はシロハラ、マミチャジナイ、アカハラ、マミジロなどの渡り鳥が青白と白の果実、2023年8月~10月前半はヒヨドリやタヌキが白の果実を持ち去った。ノブドウ果実を持ち去った動物の種数は、同様の調査手法を用いた先行研究の記録種数(4-8種)と同程度だった。

ポスター発表 P-14*

宮城県で冬季に観察したマミチャジナイ

 ○宮本竜也・加藤健太・鳥上航平(東北大学野鳥の会) 

仙台市の都市公園において、2月に2個体のマミチャジナイを観察した。本種は台湾以南で越冬するとされていたが、少数が西日本で越冬しており、近年は東日本での冬季の観察が増えている。越冬分布の北上は気候変化に伴って各地の地上採食性鳥類で報告されており、本種もそれに従うと考えられる。一方で東日本によく越冬するツグミ類3種に比べて体の小さい本種は直接的な闘争において劣位と考えられ、分布拡大の制限となっている可能性がある。今回の観察ではツグミおよびシロハラとほぼ同所的に見られた。当該個体の行動観察に加え、他ツグミ類との観察時期の比較も行い、分布拡大の一端を報告する。 

ポスター発表 P-15*

ジョウビタキの繁殖環境の変化

○山路公紀・石井華香 

2010年に本州で初めて確認された八ヶ岳周辺のジョウビタキの繁殖環境は、高原の別荘・リゾートであった。しかし、2016年に確認された岐阜県高山市では、山間盆地の住宅地であり、大きく異なっていた。差が生じる原因と将来を知るために、八ヶ岳周辺でその後の追加データも用いて、繁殖環境と標高について経年的な変化を調べた。営巣場所として、主に人工物を利用するジョウビタキにとっては、住宅地のほうが良いし、外敵からの脅威を逃れやすい。ジョウビタキは、日本での繁殖を、採餌環境が良い別荘・リゾートで始めたが、個体数の増加にともない、より多くの営巣場所が得られる住宅地へと繁殖域を拡大し、標高は下がったと考えられる。

昨今、安価で入手が容易なセンサーの普及により利用可能な生態学データは大幅に増えている。鳥類の鳴き声の音声データも然りである。ただ、従来のデータ解析手法は大量のデータ処理に対応できておらず、近年、機械学習技術の応用が課題解決の一助となることが期待されている。
本発表では、鳥類の鳴き声の音声データの活用に資することを目的として、深層学習モデルを応用した音声による鳥の鳴き声検索技術について紹介する。そして、その性能評価を通して現状の課題、および今後の展望について述べる。

ポスター発表 P-17


霧ヶ峰における林野火災による鳥類相への影響

 ○堀田昌伸・尾関雅章(長野県環境保全研) 

霧ヶ峰の草原では管理停止後の1960年代降、草原性鳥類(特に、コヨシキリ)の生息が著しく減少した。2023年5月4日の林野火災により166.25haが焼損した。2013年4月28日にも火入れ事業の延焼により、220.2haが焼損した。一方、茅野市柏原地区(約42ha)では、2018年まで火入れにより草原環境を維持してきた。これらの林野火災や火入れによる管理停止後、草原性鳥類の生息に変化がみられるかを調査した。その結果について報告する。

ナベヅルの約8割が鹿児島県出水市へ越冬し、パンデミックが懸念され分散化が望まれている。四国地方もその候補地で、毎年、四万十市等へ飛来するが、同一個体が継続飛来しているかについては標識が無く確認されていない。しかし、ナベヅル定着議論において、同じ個体が飛来かは重要な手掛かりと思われる。そこで、ナベヅルの身体値測定と身体値による個体識別の検討を進めている。測定身体値は、嘴基部高3cm、頭部寸7~8cm、附蹠長20~21cm等で、遠方から撮影した身体値画像寸と、レーザー測距値の2値より実寸を求める。測定精度は撮影距離100m以内で1mm程。今年3月に周南市、出水市で測定しクラスター分析で個体識別した事例を紹介する。

ポスター発表 P-19

糞中および胃内容物のDNAメタバーコーディングによるヒクイナの食性解析

 ○大槻恒介(長崎大・院・水環)

 

ヒクイナは水田の質の低下とともに数を減らし、準絶滅危惧種に指定されている。野生生物の保全を行う上で、餌生物を把握し、その採食環境を整えることは重要である。そこで、DNAメタバーコーディングにより食性解析を行った。解析には繁殖期に採取した糞(n=7)と胃内容物(n=1)を、rbcLとCOIの遺伝子領域を対象とし、動物・植物質の餌種を広く調べた。結果、植物14科23種、動物:21科30種を検出した。植物質はイネ科が26%と出現頻度が高く、その他多様な湿生植物が検出された。動物質は地上徘徊性クモ類の出現頻度が39%と高かった。これらは畦畔や休耕・放棄田に多く存在するため、本種の保全には圃場外に目を向けた水田農地の整備が求められる。 

ポスター発表 P-20*

「ハス田の野鳥をまもる」防鳥ネットの実証

 ○内田 理恵(a-tori-net Project、バードリサーチ会員) 

ハス田の防鳥ネットで野鳥の羅網事故が多発しています。
当プロジェクトでは、事故分析の手法を用いてハス田の羅網事故を調査し、原因の究明に成功しました。さらに、その対策として「野鳥をまもる」理想の防鳥ネットを考案し、羅網事故の抑止効果を実証試験により確認しました。
野鳥の羅網事故の意外な原因と、理想の防鳥ネットの概要を紹介します。

ポスター発表 P-21*

市街地のツミの繁殖行動

 ○緒方晴 

市街地で繁殖するツミのつがいの子育てを2021~2023年に観察したレポートです。
「それほど広くなく、大きな川もない近所の公園でもこんな鳥がいるんだ」と思い、観察を始めました。
 2年間の間に、カラスが頻繁にモビングをかけていた場所で子育てに失敗し巣を移動したり、雛が巣から落ちてしまい巣を移動する様子を観察しました。その巣の移動を地図上で確認すると、毎回元の巣の位置から500mほどの場所へ移動しており、縄張りの地域は変えていないことがわかりました。

2018年の晩秋に、青森県津軽半島龍飛崎の付近にて、外灯の光を利用して夜間に渡る鳥を直接見ることが可能な場所が見つかった。この方法は、レーダーなどを用いた方法とは違い、夜に渡る鳥を捉える方法としてはアナログ的ではあるが、直接目視や撮影をすることで種を識別可能という点では寧ろ画期的である。観察地の発見以降観察を続けており、2021年からは2ヶ月余りの連続調査を行っている。本発表では、その連続調査3年目となる今年のカウント結構や傾向について、速報的にお知らせする。

ポスター発表 P-23

クマタカの出現頻度の時間帯による変化 

 ○中津弘 

各時間帯でのクマタカの相対的出現頻度の情報は、観察計画だけでなく、本種の行動の推察にも役立つ。近畿地方北部T地域で2002年4月から2年間、中部J地域で2022年1月から2年間行った定点観察の記録を集計した(出現はT地域で計297回、J地域で計222回。保護のため地域は詳述しない)。地域ごとに、各時間帯について観察1時間あたりの出現およびディスプレイ飛行の頻度を算出した。出現頻度が高いのは(≧中央値)、2地域とも10-14時、ディスプレイ飛行の頻度が高いのも(同)、2地域とも10-14時であった(但し値にはばらつきあり)。昼頃に出現頻度が高いのは、クマタカが上昇気流を利用して目立つ空間に現れるためであろう。

ポスター発表 P-24

羽根の微細な隙間は飛翔に貢献するか:空気力学的検討 

 ○六倉大志・前田将輝(拓殖大学)

鳥の風切羽は羽軸と羽弁からなるが、羽弁は羽枝・小羽枝という毛で構成され、微細な隙間がある。羽毛の進化を考えると、恐竜の毛から現生鳥類の羽根へ至る途中で隙間の大きな段階があったはずだが、その空気力学的性能や飛翔への影響は明らかでない。本研究はそうした羽毛の性能解明を目指し、羽根モデルの羽弁に隙間を入れ、流れの数値シミュレーションを行った。その結果、隙間を通して下面の高圧気流が上面の低圧部へ流れ込み、揚力および揚抗比を低下させる傾向が見られた。一方、翼弦長(羽根の流れ方向の幅)と羽軸の高さが流れや揚力・抗力に大きく影響しうるという示唆も得られた。今後は隙間に関するパラメタを増やしていく予定である。

ポスター発表 P-25*

長崎県における音声録音調査による春の渡り調査

 ○井上拓海・大槻恒介(長崎大 院)

長崎県長崎市に位置する岩屋山と帆場岳において、2018年〜2022年の各春に、ボイスレコーダーを用いた音声録音調査を行った。調査によって得られた音声をスペクトルグラム表示し、解析することにより鳥の鳴き声を判別し、渡り鳥の渡来状況を調査した。録音機械を活用した調査で得られた結果を発表する。結果として、岩屋山で50種、帆場岳で45種、合計53種を確認できた。音声録音調査は鳥の移動状況を把握するのに有用であると考えられる。

ポスター発表 P-26*

南西諸島喜界島におけるタカの渡りが 隆起サンゴ礁の水循環システムに与える影響

○天野孝保・利部誠(長崎大・院・環)

喜界島は琉球弧の外帯に位置し、隆起サンゴ礁の島として知られる。明瞭な河川はなく、雨水などが琉球石灰岩地帯の地下に伏没し、地下水脈を流動した後、湧水として地表に分布する。渡り鳥は複数生態系を繋ぐ役割を果たし、例えば栄養塩などの持ち込み効果が知られるが、地質学的に鳥類の影響を評価した研究はほとんどない。本研究では、喜界島の閉鎖的環境とサンゴ礁地形の琉球石灰岩の性質及び降水量に着目し、渡り鳥などの季節イベントが与える島嶼への環境負荷を知ることを目的とした。渡り鳥が関連する季節イベントは雨水と共に石灰岩地形特有の地下に浸透し、湧水から渡り鳥によるイオン成分の検出と連続的な変動を記録することに成功した。

ポスター発表 P-27*

小河川におけるカルガモの行動と生態 

  ○長久保定雄(バードリサーチ会員)  

2022~2023年、埼⽟県朝霞市を流れる⿊⽬川の調査域(約3.4km)において撮影した約30,000枚のカルガモ写真を解析し、可能な限り個体識別・雌雄判別して、個体の行動と生態を解析した。その結果、当地カルガモは黒目川に対してFidelityが強いことが推測された。また、カルガモのクチバシ模様や三列風切羽は前年と同じパターンで変化すること、繁殖期の多くのメスのクチバシが婚姻色のような色変化を示すこと、加えて、ペアの継続性には様々なパターンがあることが観察された。

ポスター発表 P-28

都市部におけるドバトの趾異常の調査

  ○海瀬慧、西田澄子、北村亘(東京都市大学)  

都市部のハトは、採餌や営巣が人間活動と密接に関係しているため、地域の都市環境を反映する良い指標となっている。また、都市汚染が生物多様性に及ぼす影響を知ることは、野生生物を保全するために必要な対応策や緩和策を知るためにも重要となる。本研究では、都市の環境要因がドバトの趾の異常に与える効果を検討した。静岡県3地域、神奈川県16地域、東京都5地域の計24ケ所の駅及び公園でドバトを観察し、趾異常を持つ個体の割合を抽出した。その結果、人口密度の高い地点で有意に趾異常を持つ個体が多くみられた。人口密度が高い地域では、人工廃棄物が多いため趾に異常が起きやすいと考えられた。

ポスター発表 P-29

ペリットDNAを用いた吐き主特定手法の検討-採取地間での解析率の比較-

 ○春日井冴羅(北海学園大学)・丹羽健輔(北海学園大学)・望月虎太郎(北海学園大学)・安宅野乃花(北海学園大学)・坂井柊紀(酪農学園大学)・森下徹(北海道自然保護監視員)・早矢仕有子(北海学園大学)○新沼協(北海学園大学) 

鳥類の生態学的調査において、糞や体毛、ペリットなどの標本は対象を捕獲せずに入手できることから、対象生物に対する影響が少なく、効率的なデータ収集が可能である。特にペリットは、さまざまな種において、その食性解明のための研究材料となっている。しかし、自然環境で収集したペリットから吐き出した鳥種の特定は、巣や餌場などの場所以外では難しい。本研究では、ペリットのDNA解析による吐き主特定手法を検討するとともに、異なる場所(森林、草原、林縁)で採取されたペリットの解析成功率について比較を行った。

大分県の離島、高島にはかつて人為的に持ち込まれたクリハラリスが高密度で生息し、2017年にウズラ卵を用いて行った擬巣実験では3週間で96%の巣でリスにより卵が捕食された。約1kmの島に当時生息していたリスは多くて100頭前後、数年で根絶も可能と推定されていたが、実際に捕獲を始めてみると4年で1600頭以上を捕獲した上に化学的防除も使用してようやく根絶が見込める状態となってきた(Tamura & Yasuda 2023)。その間、1年おきに行った擬装実験ではリスが減るにつれてハシブトガラスやクマネズミによる捕食は増加したものの、卵の残存率が上昇しつつある。リスが消えた島の変化について報告する。 

ポスター発表 P-31*

傷病鳥から採取したハジラミの飼育の試み

 ○佐藤悠子(新潟県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里) 

傷病鳥からはハジラミを生きたまま採取することができる。今回、アオバトとドバトから採取したハジラミ3種(Columbicola columbaeCampanulotes compar、不明種)について、宿主の羽毛とハジラミをサンプル瓶に入れて飼育を試み、生態の観察を行った。羽毛の採食、交尾、産卵、孵化、脱皮などの行動が観察された。採食部位や産卵場所には種による違いも観察された。未だ不明な点が多いが、興味深いハジラミの生活の一端を報告する。

ポスター発表 P-32*

森の時空間的変化に対する鳥の反応

 ○柴山潤太(名古屋大・院・生命農) 

2022年より、4月から12月に愛知県北東部の森林で、ラインセンサスと音声録音を用いて鳥類群集を調査している。鳥類群集は森林環境の時空間的変化に応じて変容すると予想されるため、様々な森林タイプ間で、また約30年前の調査(同じ場所・方法)との間で結果を比較した。さらに2022年12月の間伐による影響も検討した。本報告は2023年のラインセンサスの結果を中心とする。種数や多様度指数は、広葉樹林区、針広混交区で針葉樹林区よりも高かったが、過去と現在の間、あるいは間伐前後では大差なかった。一方で種構成は一部変化(消失と参入)した。

ポスター発表 P-33*

鳥たちの気象防災講座(台風編)

 ○太田佳似(日本気象予報士会) 

毎年、日本にやって来る迷鳥の原因となる気象現象のうち、「台風」が原因となった例を、近年の日本や米国のハリケーンの事例からいくつか紹介します。また、鳥たちの避難行動の研究例にも触れ、もし鳥たちのためにハザードマップを作ったとしたら、どんなものになるのかを一緒に考えてみましょう。

ポスター発表 P-34

食性データベース2000件 記録と記録者紹介

○植村慎吾(バードリサーチ) 

2022年に始めた食性データベースの登録件数が2000件になりました。これまでに集まっている記録の概観と、いくつかのトピック紹介をします。また、これまでの登録件数が多い順に9名から、普段の観察の様子についても紹介してもらっています。

ポスター発表 P-35*

ヤマドリの個体識別の試み

 ○吉村正則 

ヤマドリの尾羽の模様が個体毎に違っている事に気付き、換羽前後で羽衣が同じ事を確認して、年を跨いでの観察や、距離の離れている地点での観察を行った。結果、数年にわたり、同じ縄張りを利用しているのを確認した。また、言われている以上に広い縄張りを有する個体も居るのを観察した。 

ベランダ観察で気づいたことをまとめています。人気No1のヒヨドリに並ぶ勢いでオナガが参加するようになり、オナガの特性や二種の違いなどを垣間見られるようになりました。オナガの鳴き声やヒヨドリの雌雄について私見で触れています。

鳥類学大会2023

協賛 一般社団法人ヒマラボ

口頭発表プログラム

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口頭発表1 12月17日 13:30-13:50

小河川におけるカルガモ親子の移動 

 ○長久保定雄(バードリサーチ会員) 

2022~2023年、埼⽟県朝霞市を流れる⿊⽬川の調査域(約3.4km)において撮影した約30,000枚のカルガモ写真を解析し、カルガモ親子母の個体識別結果から育雛中のカルガモ親子の移動を追跡した。繁殖期前から過ごしていた場所付近で育雛する母カルガモもいれば、調査域外の上流から2km以上離れた下流へ移動しながら育雛する母カルガモも多く認められた。簡易habitat評価の結果、人間活動、他カルガモとの干渉の影響を受けて移動していることが推測された。

口頭発表2 12月17日 13:50-14:10

越冬期におけるオオワシ・オジロワシの飛来数と行動生態について〜北海道と長崎県の記録〜

 ○天野孝保、大槻恒介、井上拓海、(長崎大・院・環)雀ヶ野孝、上西花果(対馬振興局) / ○末田晃太(北海道大・環境科学院) 

オオワシ・オジロワシは、冬期に日本に飛来する大型の猛禽類である。日本最北端の地である北海道宗谷岬は、その「地理的な位置」から両種をはじめとした多くの渡り鳥の通過点となっているが、それらを長期間連続的に記録した研究は近年行われていなかった。本発表の前半では、宗谷岬における2023年度秋の両種の渡りカウントについて報告する。長崎県対馬市は大陸と日本の両方の特徴を持った豊かな自然環境を有しており、その「地理的な位置」と自然度の高さから、両種が越冬できるだけの資源がある。しかし、これまでに島内分布や個体数は調べられていない。そこで画像解析により過去5年間の個体数と行動生態について明らかにしたので報告する。

口頭発表3 12月17日 14:10-14:30

プレイバック法を用いた侵略的外来鳥サンジャクの広域調査と分布予測

 ○松田洋仁(高知大学)・河村和洋(森林総研)・比嘉基紀(高知大学)・佐藤重穂(森林総研)・谷岡仁(日本野鳥の会高知支部)・山浦悠一(森林総研) 

近年、外来鳥類種のサンジャクが四国で分布を広げている。本研究では、サンジャクの分布調査手法を確立し、分布とその決定要因を解明した上で、四国全域で生息適地の分布を予測することを目的とした。このため、鳴き声の再生により個体の発見率を上げる「プレイバック法」を用いてサンジャクの分布調査を四国西南部で行なった。サンジャクは特定の鳴き声の再生に反応し、鳴き返し確率は5月下旬から7月上旬にかけて午後よりも午前に高い傾向があった。本種は標高が低く、周囲600m以内の森林率が76%程度の場所を好み、四国では海岸沿いの市町村や都市部から離れた里地、および山地帯の辺縁部に本種の生息適地が分布していると推定された。

口頭発表4 12月17日 14:40-15:00

オシドリ雛のみで行動した事例

 ○新田啓子(日本オシドリの会) 

 2005年以降に北海道札幌市内でオシドリの繁殖を観察していますが、その間にいろいろな場面に出会いました。その中で雛のみで行動した事例についてまとめました。
 1例目は、2023年に北海道大学構内で巣立17日目のオシドリ親子の雌親と雛1羽が天敵に襲われ、残った雛6羽の事例。
 2例目は、2020年に豊平川における雌親がいない雛の事例。
 3例目は、2011年真駒内の国道の街路樹での巣立直後の移動中に雌親が飛んで道路を渡ってしまいましたが、雛は散らばらずに雛のみで一列になって道路を横断した事例。

口頭発表5 12月17日 15:00-15:20

ダイトウコノハズクはなぜ、交尾声をあげるのか?

 ○金杉尚紀(北大・院理)、澤田明(国環研・PD)・佐々木瑠太・細江隼平・高木昌興(北大・院理) 

多くの鳥類で交尾中に声(以下、交尾声)を発することが知られている。この声には何らかの機能があると考えられるが、その機能を検証した研究は数少ない。そこで、ダイトウコノハズクを対象として研究を行った。本種は交尾声を頻繁に発することが明らかになっている。11つがいを対象に実験を行った。実験1では交尾声と広告声(なわばり防衛などに使う声)を含む音声を流した。実験2では広告声のみを含む音声を流した。鳴き返しの数をオスとメスでカウントした。交尾声を含む音声ではオス・メスともに鳴き返しの数が多くなることが分かった。このことから、交尾声を認識しており、何らかのコミュニケーションに使用していると考えられた。

口頭発表6 12月17日 15:20-15:40

カワウPhalacrocorax carboの手動PCRによる性判別方法の確立

 ○菊川渚奈子(尼崎小田高校生物班)・谷良夫(尼崎小田高校) 

カワウのような性的二型がみられない鳥類では、遺伝子診断による性判別が試みられてきた。この際PCR法によるDNA増幅を行うため、高価なサーマルサイクラーが必要となる。多くの人々が鳥類の性判別をPCR法により実施できるようになるために、私たちはコンロや電熱器などを用いた手動PCRによるカワウの性判別を試みた。2023年7月本校において、手動PCR法による鳥類性判別実験会を開催した。兵庫県下4校の高校生合計13名が参加し、実験を行ったが失敗した。その後本校生物班生徒が4度挑戦し、判別可能な結果を得ることが出来た。

口頭発表7 12月17日 15:50-16:10

AIを利用したウグイスの初認と自動撮影カメラ音源からのオオトラツグミの識別 

 ○森下功啓(熊本高専)、太田佳似(日本気象予報士会 関西支部)、植田睦之(バードリサーチ)、小高信彦(森林総研九州支所) 

環境音から野鳥を同定することは環境モニタリングの面で非常に重要である。そこで、発表者らは収集した音源を基に、熊本県と沖縄を中心にみられる野鳥47種、昆虫27種、その他21種の音を識別するAIを開発した。これを用いて、(1)ウグイスに対して入念に学習したAIを使用して、熊本県内の山林2か所と東京大学サイバーフォレストが観測した富良野の音源を用いてウグイスの初認にチャレンジした。また、(2)奄美大島で撮影された自動撮影カメラの映像に含まれている音源を基に、希少種のオオトラツグミの識別にチャレンジした。本発表ではこれらの結果を報告する。

口頭発表8 12月17日 16:10-16:30

野鳥における法獣医学 -最近の話題から(鳥の相対的価値に関する私見)

○浅川満彦(酪農学園大学 獣医学類 感染・病理学分野 医動物学ユニット 教授/元野生動物医学センター)

2020年以降の本研究会では野鳥死体の法獣医学的事例を紹介させて頂いた。しかし、残念ながら今年1月研究会ポスターでお話ししたように拠点施設「野生動物医学センター」は閉鎖されたが、いまなお相談事例が続き、また、新たな報告も刊行されている。今回はそれらの中で、注目された事例を紹介し、特に、動愛法と鳥獣保護法との事例を比較しつつ、野生動物の相対的な価値について論考した。

鳥類学大会2023

協賛 一般社団法人ヒマラボ

・観察施設コラボ企画

・バードリサーチの調査へのお誘い

16日14:30–

ホームポスター発表口頭発表

自然観察施設とのコラボ企画


全国各地にある自然観察施設から、施設紹介や、そこでみられる鳥の採餌について紹介していただきます!食性データベースとのコラボ企画です。

オンラインの大会ですが、全国にある観察施設とつながることで、出かけていって鳥を観察してちょっとしたデータ取りをするイメージを参加者に膨らませて楽しんでもらえたらと思います!

参加施設
①水の駅「ビュー福島潟」(新潟県)
②加賀市鴨池観察館(石川県)
③箕面ビジターセンター(大阪府)
④新光産業きらら浜自然観察公園(山口県)
⑤油山自然観察センター(福岡県)

バードリサーチの調査へのお誘い

この冬、参加募集中。カモの性比調査とトモエガモ全国調査。
イワヒバリ調査
夜に鳴く鳥タマシギ -繁殖モニタリング-