バードリサーチ鳥類学大会2020 Online

JBRA Ornithological Conference 2020 Online

講演要旨

公益財団法人 日本野鳥の会

当会では、野鳥観察に役立つグッズを中心に商品を販売しています。光学機器、図鑑、アウトドアグッズの他、野鳥をモチーフにした雑貨や、自然に配慮した商品など幅広くご紹介しています。

レーザー計測システム【極東貿易(株)】

レーザー計測システム”LMS1.0”は、制御PCにレーザー距離計、地図、GPSが連動し、照準した目標物の3次元座標を記録します。

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ハンドメイドのアクセサリーと布マスクを制作販売。日本の野鳥を中心に並べます。箕輪義隆さんとのコラボ柄あり。話題のシジュウカラ語柄あり。お探しの鳥がきっと見つかる!

ティアック(株)/タスカム

野鳥の録音をハイレゾで収録できるICレコーダーのご紹介・販売を行います。野鳥の録音に便利なタイマー録音による実例紹介や、音源をご用意しております。

NPO法人 大阪自然史センター [はくラボ]

自然とのつながりを広げ深める窓口として、グッズの企画制作、出版、通信販売などに取り組んでいます。大阪市立自然史博物館ミュージアムショップを受託運営しています。

 株式会社ティンバーテック

Lotek社の鳥類用小型GPSタグを販売しております。メーカー担当者と連携し、ユーザー様のご要望に沿った製品をご提案いたします。

どんすけ

どんすけという名前で、生き物のイラスト作製とグッズの販売を行っています。

つぐみ(羊毛フェルト作家)

 羊毛フェルトでほぼ実物大のリアルな野鳥などを制作し紹介。そのほか展示・販売のお知らせや制作の様子などもご覧いただけます。本大会開催当日にあわせて新作も発表します。

Lotek Wireless Inc.

Lotek は、繁殖および渡りの際の鳥の動きを追跡するためのタグを作成しています。最新のテクノロジーについて動画でご紹介します。ご覧ください。

パイフォトニクス株式会社

浜松市との実証実験で開発したLED照明装置(ホロライト)にムクドリが反応することがわかりました。安心安全な光による市街地から郊外への誘導でムクドリとの共存を目指します。

とり雑貨 ことりこ

消しゴムはんこと羊毛フェルト作品を中心に、野鳥モチーフの雑貨を制作、販売しています。

 株式会社 一心助け 

柏の葉キャンパス駅前に飛来してくるムクドリ群との共生をはかるため、ムクドリに実被害のない天敵「オオタカ」の立体視シートを樹木に吊り下げ、他の住処へ移動するようにしました。

買い物でバードリサーチの活動を支援する

 バードリサーチでデザインしたTシャツをモンベルの商品ラインナップに加えていただいています。このTシャツの売り上げの一部は、バードリサーチの活動に寄付されます。

口頭発表 講演要旨

口頭発表 1a 12月19日 10:40-11:00

コクガンの渡りルート最前線

〇澤祐介(山階鳥類研究所)

国内のコクガンに関する研究者で結成した、コクガン共同調査グループでは、2017年秋期より、北海道別海町野付湾、函館でコクガンの衛星追跡を行ってきた。2017年から2019年にかけて、野付湾では18羽、函館では6羽のコクガンに発信器を装着した。
その結果、秋の渡り時期に野付湾を中継する個体群は、冬季には、朝鮮半島、北海道南部・本州北部の越冬地に渡っていくことが確認された。また、函館で越冬した個体は春の渡りで、オホーツク海、コリマ川を北上し、北極海のノボシビルスク諸島まで渡り、夏を過ごしていること、秋の渡りでは、シベリアおよびカムチャツカ沿岸部を渡り、北海道に戻ってくる渡りルートが明らかになった。

口頭発表 1a 12月19日 11:00-11:20

球磨川河口におけるシギ・チドリ類の動向と人工湿地

○高野茂樹(日本野鳥の会熊本県支部)・逸見泰久(熊大・合津マリンセンター)

八代海の球磨川河口に発達する干潟は、シギ・チドリ類の渡来地である。1985-2015年に球磨川河口および隣接する干拓地(人工湿地)におけるシギ・チドリ類の個体数の年変動・季節変動を調査し、河口干潟及び干拓地の飛来地としての役割を検証した。干拓地でのシギ・チドリ類個体数傾向は、河口での個体数傾向と一致し、干拓地に形成された人工湿地が休息地として機能したためと思われた。飛来数が増加した種は5種、減少した種は7種であった。種の飛来型は7つに分けられ、球磨川河口は、中継地・越冬地として重要であることが示された。

口頭発表 1a 12月19日 11:20-11:40

流跡線解析による鳥の飛行経路推定の検証

○太田佳似(日本気象予報士会)

昨秋の鳥学会で、流跡線解析による迷鳥84例の飛来元推定を報告した。但し迷鳥の経路は実際のロギングは困難で、検証はできなかった。 そこで名古屋大依田研よりご提供頂いた2017年と2018年のオオミズナギドリ巣立ち雛の渡り経路のGPSロガーデータを用いて流跡線解析を検証した。 全31個体中、北緯20度より南下した22個体の解析を行い、少なくとも13個体で流跡線解析との強い相関が得られた。 一方、流跡線解析の予測からずれる要因として、採餌による飛行の中断とダイナミックソアリングの影響が推定された。

口頭発表 1a 12月19日 11:40-12:00

小笠原・伊豆諸島のツバメには南西諸島を渡るツバメとの遺伝的な違いがあるか?

○重原美智子・川上和人(森林総合研究所)・西海功(国立科学博物館)

小笠原・伊豆諸島では、春も秋もツバメが観察されるが、そのツバメたちがどこから飛来し、どこへ行くのかは明確ではない。本州や九州などで繁殖しているツバメの越冬地は、標識調査の結果などからフィリピン、インドネシアなどの東南アジアで、南西諸島を経由するルートで渡りを行っていることが明らかになっている。南西諸島を渡るツバメたちと小笠原、伊豆諸島で観察されるツバメたちの遺伝子には、違いがあるのだろうか。各地域で回収された43羽のツバメの遺伝子解析をおこなった。

口頭発表 1b 12月19日 14:00-14:20

ハイガシラゴウシュウマルハシのヘルパーはどうやって繁殖地位を得るのか 

〇三上かつら(バードリサーチ)・山口典之(長崎大)・Richard A. NOSKE (チャールズダーウィン大)・ 江口和洋(九州大) 

オーストラリアに生息する共同繁殖鳥類、ハイガシラゴウシュウマルハシPomatostomus temporalis rubecula について、ヘルパーの繁殖地位獲得のパターンを調査した。行動データと分子データを用い、性差、血縁、移住ヘルパー間の相互作用に焦点を当てた。ヘルパーが繁殖地位を獲得するため、新しくグループを作る、既存のグループに移住する、または繁殖地位に空きが出るまで出生グループで待つ、という3パターンが見られた。選ばれた選択肢は雌雄で違っていた。これらのパターンと血縁者回避の関係、生活史を絡めて考察する。

口頭発表 1b 12月19日 14:20-14:40

昼行性になった都市河川のカモたち

〇⾦井裕(日本野鳥の会)

カモ類は、一般に夜行性の鳥とされるが、代表的な都市河川である仙川においては、日中に採食するカモ類が多くみられるため、昼間と夜間における行動を比較することにした。調査を行ったのは東京都三鷹市新川から世田谷区成城までの6.6kmで、川幅15m、高さ5mの護岸で囲まれた典型的な都市河川であるが、河床に草地、水域に沈水植物が多い。2019年12月27日に中間と夜間の行動、12月28日には日没の飛立ちの確認を行った。昼間は採食と泳ぎで約8割だったが、夜間は睡眠が約6割であった。日没時の飛立ちは無く睡眠へ移った。

口頭発表 1b 12月19日 14:40-15:00

日本にいる日本にいない鳥:籠抜けによる非在来種鳥類の野外への移出

○西田澄子(バイオ科学技術翻訳)

日本の国内には、在来種や定着した外来種等のいわゆる野鳥以外にも、家禽・レース鳩・愛玩用飼鳥など、様々な鳥が存在する。その中で、外界とほぼ隔離された状態で一生を過ごす愛玩用の飼鳥について、国内に存在する飼鳥の種類と野外に出てしまう(籠抜け)飼鳥の数を把握する目的で本調査を行なった。籠抜けが把握された飼鳥は、オウム目が最も多かった。一方、国内で飼育されていると思われる飼鳥は、種類数としてはスズメ目とタカ目・フクロウ目が非常に多く、多様な非在来種の鳥類が国内で飼育されていることがうかがわれた。

口頭発表 1b 12月19日 15:00-15:20

ひとまずヤンバルクイナを対象とした声紋による自動識別

○森下功啓(熊本高専)

講長時間録音された環境音に含まれる鳴き声から野鳥の種を識別する汎用的なソフトウェアはまだ存在しない。そこで、ひとまずヤンバルクイナを自動的に識別するソフトウェアの開発を行った。畳み込みニューラルネットワークを用いて声紋画像を学習した結果、冬~初夏に収録した15:30~20:30の653時間の音源に対して、尤度0.15を閾値とした場合に256件中16件、尤度0.30を閾値とした場合に0件/89件の偽陽性であった。今後は誤判定しやすい音に対応し、夏季の日中でも通用するか確認したい。

口頭発表 1b 12月19日 15:20-15:40

ロボット聴覚技術に基づく鳥類音声の録音・分析手法の開発

○炭谷晋司(名大)・鈴木麗璽(名大)・松林志保(阪大)有田隆也(名大)・中臺一博(東工大,HRI-JP)・奥乃博(京大,早大)

ロボット聴覚は多くのチャネルを持ったマイクであるマイクアレイを用いて音の到来方向の推定や到来音源の分離を行う技術である。我々はマイクアレイとロボット聴覚オープンソースソフトウェアHARK(HRI-JP Audition for Robots with Kyoto University)で構成される鳥類音声の録音・分析・可視化のためのシステムHARKBirdを開発・試行中である。本発表では、HARKBirdを用いて鳥類がいつどこでどう鳴いたかを定量的に観測する最近の取り組みについて、録音機材の具体例や可視化の方法に注目して報告する。

口頭発表 2a 12月20日 10:40-11:00

長崎県内における都市部と農村部のツバメの繁殖生態とそれに影響する諸要因の比較と雌雄差

〇天野孝保(長大・院・環)・山口典之(長大・院・環)

ツバメは、夏鳥として日本の九州以北に渡来する鳥類で、民家の軒下などに巣を作ることから昔から人間と密接に関係してきた。近年、都市部では宅地化などによる商業施設の増加、泥が付着しにくい防汚加工の外壁材の建造構造の発展など様々な要因により、ツバメの個体数が減少している。本研究では長崎県内の都市部と農村部で300m×300m四方区画内のグリッド35マス分のポリゴンを発生させ、10500㎡の範囲における景観差とビデオカメラによる採餌回数、草地面積など異なる2つの環境が繁殖期のツバメ与える諸要因について比較し評価した。

口頭発表 2a 12月20日 11:00-11:20

サハリンにおける鳥類観察記録

○長谷部真(サロベツエコネットワーク)

2019年7月にサハリン南部のユジノサハリンスク、中部のポロナイスク、ティモフスク、北部のバイカル湾で鳥類観察を行い、ホオジロガモ、コガモ、オオワシ、コミミズク、アカアシシギ、ソリハシシギ、カモメ、ユリカモメ、アジサシ、カラアカモズ・カラフトムシクイ・ムジセッカ・カシラダカ、シマアオジ等を確認した。

口頭発表 2a 12月20日 11:20-11:40

農事暦の違いに起因するサシバの生息地選択の地域差:餌生物を介した影響

〇鬼頭健介(東大・院・農)、藤田剛(東大・院・農)、伊関文隆(希少生物研究会)、宮下直(東大・院・農)

サシバの生息地選択には地域差が見られるが、そのメカニズムはわかっていない。本研究では、地域の農事暦の違いが餌密度を介してサシバの生息地選択に地域差をもたらすという仮説を立て、検証した。九州の里山で調査した結果、田植えが早い地域では水田のカエル密度が高く、本種は水田-森林景観を選好し、田植えが遅い地域ではカエル密度が低く、本種は直翅目昆虫が多く分布する草地-森林景観を選好していた。この地域差を考慮し、本種の広域にわたる生息適地評価は、田植え時期を基準に分割した地域ごとに行うことが有効と考えられた。

口頭発表 2a 12月20日 11:40-12:00

東北地方で繁殖するコノハズクのフンのDNAを用いた食性解析

◯田谷昌仁(東北大学)・細谷淳(鳥類標識協会)

夏鳥として南西諸島以外の日本全国に分布するコノハズクOtus sunia は、多くの都府県で準絶滅危惧種以上に指定されるなど、局所絶滅の恐れが高まっている。しかし、その調査の難しさから基礎的な研究が不足しており、特に食性など保全上重要な項目の解明は急務である。今回、私たちは東北地方南部の繁殖地で行われた標識調査の際に採取されたフンより、DNAメタバーコーディングを用いて食性解析を試みたため、ここに報告する。サンプル数が少なく、食性を網羅することはできないが、コノハズクの生態を理解する上で重要な手がかりとなるだろう。

スライドショー発表 講演要旨

スライドショー発表 1 S-01

交差点上のコサギのねぐら

○多田英行(日本野鳥の会・岡山)

近年、岡山県南部では都市部の交差点上にコサギのねぐらが確認されている。本調査ではいくつかあるねぐらのうち、規模の大きな1か所を10年間調査した。ねぐらは非繁殖期にあたる8~3月頃に利用され、個体数のピークは11月頃に迎え、最大で151羽を記録した。寒波や強風の日には一時的に個体数が減少し、厳冬期にあたる1~2月には個体数が激減した。ねぐら利用されやすい場所の要因として、電線や電柱の付属物が多く止まりやすいこと、ねぐらの近くに明るい照明があること、周囲にビルなどの障害物が少ないことが考えられる。

スライドショー発表 1 S-02

オオトラツグミ生息状況30年の変遷 〜幻の鳥から普通種に〜

○石田健(自由科学者)

奄美大島のみに生息するオオトラツグミは、1990年代には、わずかに残されていた生息地の老齢林に夜を通して滞在しても、逢える機会の少ない鳥だった。現在は、分布域が広がり、多くの森林で、繁殖期には夜明け前にその美しいさえずりを聞かれ、夜が明けてからも姿を観察できるようになった。1980年代まで続いた森林開発が急速に低下し、21世紀に入ってから侵略的外来種フイリマングースの防除事業も成果をあげた結果だと考えられる。金作原国有林でのルートセンサスや、録音調査の結果などを示し、この30年の変遷を紹介する。

スライドショー発表 1 S-03

アライグマの捕食回避に適した森林性鳥類の巣箱の形状

○渡邉大雅(東海大・生)・松井晋(東海大・生)

鳥類の人工巣(巣箱)と自然巣を襲撃する捕食者相には違いがあり、外来種アライグマは鳥類の巣箱での繁殖を著しく攪乱することが近年問題になっている。アライグマが生息する羊ヶ丘実験林(札幌市豊平区)において、巣箱の入口の形状をS字型と筒型に改良した一般的に使用されているサイズの巣箱と、丸穴の入口から底までの距離が長くなるように改良した深底型の巣箱を設置してカラ類(ジシュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ)の繁殖生態を追跡し、各タイプの巣箱の繁殖成績からアライグマの捕食リスクの回避できる巣箱の形状を比較検証した。

スライドショー発表 1 S-04

カラスとスズメは磁石が嫌い?

○山口恭弘(農研機構)・吉田保志子(農研機構)・佐伯緑(農研機構)・水井陽介(静岡・農林技術研)

鳥は地磁気を感知でき、近年では鳥の網膜が磁気感知に関わることが示唆されている。一方、鳥害対策グッズとして磁石を使ったものが多く市販されている。しかし、鳥が地磁気を感知できることと、磁石による磁場の乱れを忌避することは別問題である。本研究では、飼育下でカラス、スズメを用いて、磁石の忌避効果の有無を検証した。餌場への来訪回数、試験飼料の消費量、来訪ごとの滞在時間のいずれについても、磁石ありと磁石なしの餌場で差はみられなかった。今回使用した1200ガウスの磁石に鳥を忌避させる効果はないと考えられた。

スライドショー発表 1 S-05

蓮田の防鳥網を考える~野鳥が羅網しにくい網の研究~

○内田 理恵(フリー・特定非営利活動法人バードリサーチ 協力会員)

茨城県霞ケ浦周辺のハス田では、カモ用防鳥網による野鳥の羅網被害が後を絶たず、毎年絶滅危惧種を含む数千羽の野鳥の羅網死が報告されています。本発表では、これまでほとんど研究されていない防鳥網の「網目」に着目し、野鳥が羅網しにくい網目として「正六角形目(ハニカム目)」を提案します。実際にハス田に網を設置しての実証試験はこれからですが、正六角形目網の試作状況について、ご報告いたします。(「2020年度 バードリサーチ調査研究支援プロジェクト」支援対象研究)

スライドショー発表 1 S-06

フライトコールによるヤイロチョウ渡り調査の試み

○植松永至・小倉豪・溝口文男・中村豊・中原聡・楠木憲一・岩本忠義・平田智法・黒田治男・ 牛込祐司・松宮裕秋(ヤイロチョウ渡り研)・峯光一(南西環境研)・鳥飼久裕(奄美野鳥の会)・中原亨(北九州市博)・山口典之・大槻恒介(長崎大院・水環)・上田浩一(五島自然ネット)・貞光隆志・西剛(対馬野鳥の会)・古田慎一(関門タカ渡り会)・中村滝男(生態系トラスト協)・森茂晃(ホシザキグリーン財団)・星野由美子(三瓶自然館)・今森達也・増川勝二(北陸鳥類研)

ヤイロチョウ(Pitta nympha )は、本州・四国・九州に少数が渡来する夏鳥であるが、姿の観察が困難なこともあり、生息動向は十分把握されていない。一方、本種の鳴き声は判別が比較的容易であり、渡り時期の夜間には、上空から渡り途中と思われる個体の鳴き声を聞くことがある。演者らは2018年より、移動中のヤイロチョウが夜間に発する鳴き声(フライトコール)を長時間録音で記録し、国内におけるヤイロチョウの渡り経路や渡来状況の調査を行っている。今回の発表では調査の内容や得られた結果の概要を紹介する。

スライドショー発表 1 S-07

ムクドリのねぐら環境選好性についての予備的な報告

〇植村慎吾(バードリサーチ)

ムクドリのねぐらは、人通りの多い場所に形成されると騒音や糞が問題になり、これまでに様々な自治体で追い払い対策が取られてきた。追い払いを行うと一時的にはねぐら問題が解決するものの、近隣で新たなねぐらを形成して同様の問題を引き起こす。ムクドリがねぐらとして好む環境がわかれば、ねぐらの追い払いや誘致に役立てることができる。本研究では、市民と協働で集めた多数のねぐら位置情報をもとにムクドリが好むねぐら環境を調べた。本発表ではこれまでに得られたねぐら位置の特徴や被害が起きやすい時期について予備的な結果を報告する。

スライドショー発表 2 S-08

森林性鳥類の繁殖期における蠕虫感染率の種間比較

○石倉日菜子(東海大・院・生)・松井晋(東海大講師)・川路則友

鳥類に感染する蠕虫(ゼンチュウ)類は主に節足動物などを中間宿主とし、これらの寄生者に感染した宿主鳥類は寿命や繁殖成功度が低下する場合があることが知られている。本研究では、北海道で繁殖期に捕獲した森林性鳥類から糞を採取して蠕虫感染の有無を調べた。成鳥(13種63個体)のうち4種7個体(11%)、幼鳥(10種25個体)のうち1種1個体(4%)から蠕虫卵が検出され、年齢に伴って寄生蠕虫類に感染するリスクが高くなると考えられた。

スライドショー発表 2 S-09

酪農学園大学野生動物医学センターWAMCに依頼された死因解析等報告集の刊行

○浅川満彦(酪農大・獣・医動物)・吉野智生(釧路動物園)

2004年4月、酪農学園大学野生動物医学センターWAMCが設立された。WAMCは外来種を含む野生動物のみならず、動物園水族館の飼育動物、アルパカやダチョウなどの特用家畜・家禽、愛玩鳥、エキゾチック動物等を対象に寄生虫病を含む感染症の病原体診断・疫学の研究活動を展開してきた。しかし、WAMCの活動が活発化するにつれ、動物病院構内に設置されたこともあり、次第に、野外で見つかる野生動物の死体も搬入された。その報告も30を超えたたことから、その報告集刊行された。この概要を紹介する。

スライドショー発表 2 S-10

香川県に飛来したヘラサギで判った事

○吉村正則

ヘラサギ成鳥の嘴の模様は経験的に個体差がある事を知っている。今回、2007年から香川に飛来したヘラサギを継続的に見る事で嘴や皮膚の露出部の模様で個体が特定出来、加齢と共に変化する嘴の様子、冠羽の伸長状況を写真撮影して年毎、あるいは同年での変化を約2週間毎に並べて伸長状況を示した。また、個体は違っているが、幼鳥の虹彩色の変化を月毎に並べて変化を追った。結果、しっかりとした冠羽が伸びるのは満6歳頃から、また、若い時期は換羽が伸び始める時期が遅いが、成鳥と共に冠羽が伸び始める時期が早くなっている。

スライドショー発表 2 S-11

鳥類は電柱・電線のどこに止まるか:Google Street Viewを用いた調査の検討

○藤岡健人(北教大・院・函館校)・三上修(北教大)

近年、Google Street Viewの画像データを用いた研究が多く行われている。たとえば、画像データから、街路樹の種や幹の直径を推定した研究がある。本研究ではこの画像データを鳥類研究に用いることを検討した。日本中に張り巡らされている電柱・電線を、多くの鳥類は止まり場所として利用している。これまでに、都市部における観察において、どの種が、電柱・電線のどの部位を利用しているのかがまとめられてきた。本研究では、これをGoogle Street Viewを用いて行い、どの程度のデータが集まるのか、既存研究と同様の結果が得られるのかを検討した。

スライドショー発表 2 S-12

ブッポウソウの繁殖成功を決める要因は?

○黒田聖子・出口智広(兵庫県立大・地域資源)

繁殖成績は対象種の生活史や個体群動態を理解する上で重要である。本研究は、二次樹洞営巣種である本種の巣箱での繁殖生態を調査し、産卵数、孵化雛数、巣立ち雛数を決める要因を明らかにすることを目的としている。一般化線形混合モデルを用いて解析を行った結果、産卵数は初卵日、孵化雛数と巣立ち雛数は巣材の種類が最も予測のよいモデルと説明変数として選ばれた。とくに巣材のない巣では、ある場合と比べて孵化率、巣立ち率がともに低かった。本種は巣材を運ぶ習性はなく、先に巣箱を利用する他種が運んだ巣材が、本種の繁殖成績を決める重要な要因であることがわかった。

スライドショー発表 2 S-13

香川県中讃地方に飛来したコウノトリの年齢、性別、出生地等の検討

○吉村正則

香川県には2012年から足環付のコウノトリが飛来し始めた。特に2019年から飛来数が著しく増加している。年齢、性別、出生地、血縁関係等がどうなっているのか知りたく、足環から個体を正確に割り出した。
結果、若い個体の割合が高く、地域的には兵庫県由来が多くて、次いで徳島県由来が多いという結果になった。血縁関係でも数組のペア、親子、兄弟が含まれているのが解った。今回は、今までの記録を纏めただけの報告であるが、今後サギ類など餌が競合する他種との関りや、溜池の環境が変わることによっての飛来数の変化等を継続して調べてみたい。

スライドショー発表 2 S-14

九州中北部におけるミヤマガラスの越冬生態

〇服部南・松田浩輝・中村頌湧・徳田誠(佐賀大)・側垣共生(鹿大・連合農)

ミヤマガラスによる都市部での集団ねぐらの形成が複数の地域で報告されており、衛生被害の軽減が求められているが、対策に必要な越冬生態に関する知見は少ない。本研究では佐賀市と熊本市をねぐらとする集団を対象に、ねぐらの場所の季節推移や採餌行動、餌内容等を調査した。両集団とも在来のカラスと混合ねぐらを形成し、採餌集団のサイズや餌内容はほぼ同様であったが、ねぐらから採餌場所までの距離は熊本集団が有意に長かった。これは市街地の規模の違いが影響していると考えられる。以上を踏まえ、本種の越冬生態について考察する。

スライドショー発表 2 S-15

鳥類における叉骨–胸骨間の形態比較

○有川慶彦(県立千葉高)

叉骨は、鳥類の胸部骨格を構成する骨の一つで、鎖骨が中央で癒合し、一本の骨となったものとされている。翼の上下運動に合わせ、バネのように変形する鳥類の運動において重要な役割を持つ骨である。筆者は、鳥類の骨格を観察した際、叉骨と胸骨が癒合している種、関節している種、独立している種等、叉骨-胸骨間の形態差異に気が付いた。そこで、鳥類の叉骨-胸骨間の形態の種間比較を行った。研究において、2通りの調査:骨格標本またはCT画像の観察による叉骨-胸骨間の形態の傾向の考察・解剖観察を行った。

自由集会

自由集会 1a 12月19日 15:50-16:50

研究を楽しむ場所づくり

植村慎吾(バードリサーチ)、森田泰暢(ヒマラボ)

鳥類学の発展には、プロの研究者の他に、市民研究者が大きく貢献してきました。バードリサーチでも季節前線ウォッチやムクドリのねぐら調査など、市民と一緒に野鳥のデータを集める研究的なプロジェクトを行っています。しかし、研究はデータ集め以外にも、仮説を考えたり結果をまとめたりするところにも面白さがあります。福岡大学発の、市民による主体的な知的生産を支援するヒマラボの活動を通して、もっと気軽な鳥研究の場所づくりについておしゃべりします。

自由集会 2ab 12月20日 14:00-16:10

羽毛の機能と進化

羽毛の形状や色彩から飛翔能力や性選択を研究

企画者:山﨑優佑(バードリサーチ) 田谷昌仁(東北大学) 前田将輝(Royal Veterinary College) 森本元(山階鳥類研究所)

現生生物で羽毛を持っているのは鳥類だけで、鳥類最大の特徴といえる。羽毛の形状や色彩は驚くほど多様であるが、これは羽毛が飛翔や性選択といった鳥の生存や繁殖に極めて重要な場面を司る器官であり、多様な生活史をもつ鳥類の適応の結果であると考えられる。では、種によって飛翔能力は異なるが、種間で羽毛の形状にどんな違いがあるのだろうか?また、羽色はどのような仕組みで構成されているのだろうか?
この自由集会では、これらのことを分析した研究などを紹介し、最後に演者の発表内容に対する質疑応答などをしたいと考えている。

自由集会 2b 12月20日 15:10-16:10

シマアオジの保全

長谷部真 シンバ・チャン

シマアオジの国内絶滅を回避するために、国内外の保全活動について検討する。まず、2020年のサロベツにおけるシマアオジの繁殖状況・地域における普及啓発活動を報告し、国際的な保全活動についても報告する。

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自由集会と同じ時間帯に予定しているテーマトークセッションには、講演要旨はありません。テーマリストはプログラムで確認ください。

出店・出展ブース

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Lotek は、繁殖および渡りの際の鳥の動きを追跡するためのタグを作成しています。最新のテクノロジーについて動画でご紹介します。ご覧ください。

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柏の葉キャンパス駅前に飛来してくるムクドリ群との共生をはかるため、ムクドリに実被害のない天敵「オオタカ」の立体視シートを樹木に吊り下げ、他の住処へ移動するようにしました。

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